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岐阜地方裁判所 昭和53年(わ)445号 判決

本籍

岐阜県中津川市中津川四二七番地の一

住居

同市太田町一丁目一番二〇号

会社役員

三井洋一

昭和一〇年一一月二四日生

被告事件名

所得税法違反

出席検察官

宇野博

主文

被告人を懲役八月及び罰金一、五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは金三万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、岐阜県中津川市太田町一丁目一番二〇号に居住し、同所において三井管業株式会社専務取締役として同社を経営しているものであるが、その傍ら被告人個人で商品取引及び株式信用取引を行つていたところ、昭和五二年、右商品取引により、偶然一億六、〇四一万円余の巨額の所得を得たため、高額所得者として公表されることをおそれ、また商品取引による所得を正しく申告する者はいないとの風評に影響され、自己の所得税を免れようとして、同年分の所得金額が一億六、六七九万五、九七二円でこれに対する所得税額が一億九〇六万七、六〇〇円であるのに、仮名で割引債を購入するなどの行為により、右所得金額中一億六、〇四一万三、七九二円を秘匿したうえ、昭和五三年三月一五日、岐阜県中津川市西宮町二番二号所在中津川税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が六三八万二、〇〇〇円でこれに対する所得税額が五万四、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により所得税一億九〇一万三、〇〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

検察官請求証拠関係カード記載の番号1ないし12及び15ないし22と同一であるからこれを引用する。

(法令の適用)

一、罰条 所得税法二三八条

一、労役場留置 刑法一八条

一、刑の執行猶予 同法二五条一項

(裁判官 小林克美)

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